いわき市沼の内漁港の魚市場で大人気マトウダイをご紹介します!

“的”模様の名魚、マトウダイの魅力
市場でひときわ目を引く丸い体に、ぽつんと“的”のような黒い斑点。マトウダイは、その不思議な姿から初めて見る人を戸惑わせますが、料理人の間では「見た目に似合わず実直な魚」として重宝されています。実際に包丁を入れると、透明感のある白身が現れ、火を入れても硬くなりすぎず、ふんわりとした食感を保つのが特徴です。
日本ではそれほど目立つ存在ではないものの、欧州では古くから親しまれてきました。“ジョン・ドリー”の名で知られ、海辺の家庭料理から高級フレンチまで幅広く登場します。中世には聖人が掴んだ跡が斑点になったという物語も語られ、人々の暮らしの中に自然と溶け込んだ魚でもあります。
味わいは淡白で雑味がなく、噛むほどに上品な旨みが広がります。ポワレなど洋風の調理はもちろん、和食の酒蒸しや吸い物にしても、その持ち味がまっすぐに伝わります。特筆すべきはアラの力。骨からとれる出汁は驚くほど澄んでいて、鍋やスープに深みを与え、器を手にしたときに思わず“ほっ”と息をつかせてくれます。
旬を迎える冬、マトウダイは最も美味しさを増します。寒さで身が締まり、旨味が濃くなるこの時期、ぜひ食卓に迎えてほしい一尾です。
マトウダイの大きな口はなぜ?

① 口が前にビヨッと伸びる特技がある
マトウダイは口を前に突き出せる魚。
これは“獲物との距離を一気に縮める”ための仕組みで、まるでストローを前に伸ばすようなイメージです。
② 水ごと獲物を吸い込む「吸引捕食」
獲物にそっと近づき、口を一気に開いて
水+獲物をズボッと吸い込むのが基本の狩り方。
この吸いこむ力を生むために、大きな口と広がる口腔が必要です。
③ 一瞬で勝負が決まる
口を開く→前に伸びる→吸い込む→閉じる、
この動作が**一瞬(0.1秒程度)**で起こります。
小魚が逃げる暇もほとんどありません。
④ 待ち伏せに向いた“静かなハンター”
マトウダイは目立たずゆっくり動き、獲物に近づいてから急発進するタイプ。
派手に追いかけるより、近距離で確実に捕るのに向いた口の形なんです。
あの大きな口は“効率よく獲物を捕るため”の道具
・前に伸びる
・大きく広がる
・水ごと吸える
この3点セットが、マトウダイの狩りの成功率を高めています。
マトウダイがヨーロッパで人気な理由

① とにかく“扱いやすい美味しい白身”
マトウダイは
- クセがない
- やわらかい
- 火を入れても硬くならない
という理想的な白身魚。
料理の味付けやソースをじゃましないので、料理人にとって本当に使いやすい魚です。
② どんな料理にも合う万能さ
ポワレ、ムニエル、ソテーなどの洋食はもちろん、
ブイヤベースのスープや家庭の煮込み料理にも合います。
アラ(骨や頭)から取れる出汁が驚くほどきれいなので、スープにしたときの存在感も抜群。
③ “素直な味”が料理文化にマッチ
欧州は「素材を生かす料理」が多い文化。
マトウダイのクセのない白身は、このスタイルにぴったり。
さらに“聖ペテロの魚”という伝承があり、昔から身近で親しまれてきた魚でもあります。
④ 市場では“やや高級魚”の扱い
レストランでよく使われるため、
一般の白身魚よりも値段が高めになることが多い魚。
「プロが選ぶ魚」という印象が強く、価値も高めに認識されています。
⑤ 見た目が料理映えする
丸い体に大きな“的”模様。
切り身も美しく、一皿を華やかに見せてくれるため、
高級レストランのメイン料理としても映える存在です。
マトウダイのサクサクフライレシピ(2〜3人分)

材料
- マトウダイ切り身 2〜3切れ(1切れ約80〜100g)
- 塩 少々
- こしょう 少々
- 小麦粉 適量
- 卵 1個
- パン粉 適量
- 揚げ油 適量
- タルタルソース、レモン(お好みで)
作り方
- 下準備
マトウダイの切り身に軽く塩こしょうをふり、10分ほど置いて下味をつける。
※水分が出る場合は軽くペーパーで拭く。 - 衣をつける
- 切り身に小麦粉を薄くまぶす
- 溶き卵にくぐらせる
- パン粉をしっかりつける - 揚げる
- フライパンまたは揚げ鍋に油を170〜175℃に熱する
- 衣をつけた切り身を入れ、両面がきつね色になるまで約3〜4分揚げる
- 取り出したらキッチンペーパーで油を切る - 仕上げ
- お皿に盛り、レモンを絞る
- お好みでタルタルソースやウスターソースを添える
ポイント
- マトウダイは身が柔らかいので、衣はしっかりつけて揚げると崩れにくい。
- 衣にパン粉+少量の粉チーズを混ぜると香ばしさアップ。
- 中火でじっくり揚げると、外はサクサク、中はふんわり仕上がります。
まとめ
マトウダイの旬は、冬から春先(おおよそ12〜3月)。寒さが深まるほど身が締まり、淡白ながらも上品な旨みが際立ちます。火を入れるとふわりとほどけるやわらかな食感は、まさに旬ならではの魅力。脂のくどさがなく、どんな料理にも素直に寄り添うので、洋食でも和食でも扱いやすい魚です。
旬の今こそ、シンプルなソテーやポワレ、フライで味わってみてください。

